ルナも同行してリナとレナの故郷に帰ることになった。途中、魔物は一匹も現れず、魔物かと思って剣を抜いたら野良犬だった程度に平和な世界になっていた。

「あたしたちが――魔王を――封印した、んですかね――?」

「そうだとしか考えられないわよね――」

 ずっと不思議な気持ちを抱えたまま故郷へ帰り、リナとレナの家にルナも泊まらせた。

 翌朝、母親が「そういえば、役所から何か伝えたいことがあるから来てほしいって連絡がひと月近く前にあったわよ」。と姉妹に告げた。
 いまさら役所が何の用だろう、職業を偽って旅をしたことによる罰則でもあるのだろうか、不安になりながら、ルナにも同行を頼んで役所へ行くことになった。

 役所で窓口へ行き用件を訊くと、意外な答えが返ってきた。

「実は――あなた方は本来勇者として生まれるべきだったところだったんです――
 双子になってしまったために職業の割り当てがあんなことになってしまったようだったんです。
 魔王が消えてから調査してわかったことなんですが。」

 ――勇者になりたい、そう願っていた姉妹は、始めから勇者だったのであった。ただひとつ、双子として産まれたということだけを除いては――。